近年、「Z世代」という言葉を聞くことが増えていませんか?
今までとは異なった価値観を持つ「Z世代」が社会進出を果たすことで、Z世代の上の年齢にあたる「X世代」や「Y世代」の人々がギャップを感じたり、様々な価値観を受け入れることの重要性が増しています。
- そもそも「世代」ってなに?
- X世代・Y世代・Z世代ってどんな世代のこと?
- X世代・Y世代・Z世代の違いってなに?
よく耳にする「世代」の話ですが、そもそも世代とは何を示すものなのか、そして、X世代・Y世代・Z世代はそれぞれどのような特徴があり、どこが違うのかを疑問に思っている方は多いのではないでしょうか。
X世代・Y世代・Z世代は、それぞれが異なる時代背景に触れることで、それが彼らの特徴を形成しています。この記事では、それぞれの世代がどのような時代背景に触れ、どのような特徴を持っているのかを詳しく解説しています。
- そもそも「世代」とは
- X世代・Y世代・Z世代それぞれの定義と特徴
- X世代・Y世代・Z世代の違い
そもそも「世代」とは
Z世代と当然のように使っている言葉ですが、そもそも「世代」とは何を指すのでしょうか。
「世代」とは
「世代」とは、ある時期に生まれた人々を、共通の経験や特徴に基づいてグループ化する考え方のことです。
一般的に「世代」は生まれた時期によってグループ化します。同じ時期に生まれたことで、同じ社会環境の変化を経験することになり、価値観や考え方が似てくるのです。
各世代の価値観に影響を与える要素
技術の進歩:テクノロジーの進化が、生活様式やコミュニケーション方法に大きな影響を与えます。
経済:経済的な状況や労働市場の変化が、各世代のキャリアや価値観に影響を与えます。
文化:世代ごとの文化やエンターテインメントの変化が、人々の態度や興味に影響を与えます。
社会的な出来事:重要な出来事や社会の変動は、各世代の価値観や考え方に影響します。
技術の進歩のおかげで、Z世代の私にとってオンラインでのやり取りは当たり前ですが、X世代の方々にとっては違和感があるかもしれませんね。
各世代の特徴には、それぞれその特徴を持つに至った時代背景があるはずです。そのため、それぞれの世代の特徴を知る際には、単なる特徴として捉えるのではなく、時代背景と合わせて理解することが重要です。
世代の移り変わり
世代は、生まれた時期によってグループ化されてきました。世代の移り変わりの全体像は以下の通りです。
世代の考え方は、社会学者や歴史学者によって様々な議論がなされています。例えば、19世紀末から20世紀初頭にかけて活動した社会学者エミール・デュルケームは、社会の中での異なる年齢層の集団を研究し、これを「世代」と呼んでいたことが挙げられます。
社会的事実(しゃかいてきじじつ):「個人の外にあって個人を拘束する、集団に共有された行動・思考様式」を社会的事実という。もしくは「個々人に外在する行為や思考、感情の様式であり、ひとりひとりの生き方や知覚を超えた社会独自の現実」を社会的事実という。
エミール・デュルケームの「社会的事実」、「集合意識」、「実証主義」、「客観性」について学ぶ (souzouhou.com)
「世代の特徴」というのは、個人の特徴を示しているわけではなく、その世代に生まれた人たちの傾向として認識する必要がありそうです。
そして、世代の概念が普及して広く使われるようになったのは比較的最近のことです。20世紀後半において、学者以外でも世代の考え方が普及し始めて、X世代・Y世代などの特徴的な集団が一般的にも知られるようになりました。
「世代」の考え方は曖昧な部分が多いことに注意しましょう。例えば、Y世代に生まれたからと言って、すべての人が必ずしもY世代の価値観や考え方を持っているわけではありません。あくまで世代の特徴の大枠として捉え、最終的には個人の持つ価値観を尊重する姿勢が重要です。
X世代の定義・特徴
ここからは、X世代・Y世代・Z世代のそれぞれの定義や特徴について解説します。まずはX世代についてです。
定義・時代背景
X世代は、1960年代中期から1980年代初頭に生まれた世代と言われています。
X世代が生まれた1960年中期から1980年代初頭は、戦後の経済復興期でありながら冷戦の最中です。そのため、政治的な緊張状態が続く不安定な時代で、人々はなるべく安定・安全志向な考え方をする傾向があります。一方で、1980年初頭には経済の新自由主義政策が導入されたことにより、初期の携帯電話やパソコンが普及した時代でもあります。
X世代の特徴
安定志向
経済・社会が不安定な時代であったため、将来に対する安定感を強く求める傾向があります。例えば、この時代は終身雇用が一般的であったり、住宅を購入して家族と安定した生活を送ることが理想とされていました。
技術の進歩を経験している
高度成長期にはテクノロジーの進歩が急速に進み、携帯電話やパソコンが普及しました。そのため、従来の紙ベースでのやり取りや対面でのコミュニケーションなど、アナログ環境からデジタル環境への適用が求められた世代です。
ライフワークバランスを重視する
実は、ライフワークバランスという言葉が意識されるようになったのはX世代からだと言われています。X世代の子供たちは、戦後の労働環境で仕事に明け暮れる親たちを見てきたため、家族や自分の時間を大切にする傾向があるのです。このようなライフワークバランスを大切にする価値観が登場し、少しづづ労働環境も変化していきます。
「ライフワークバランス」という言葉は最近になって意識されるようになったものだと思っていました。意外です!
- 経済的・社会的に不安定な時代 安定志向が強い
- 技術・テクノロジーが急速に発展した時代 アナログからデジタルへの転換期
- 戦後の労働環境を見てきた世代 ライフワークバランスを重視する
Y世代の定義・特徴
定義・時代背景
Y世代は、1980年代中期から1990年代初頭に生まれた世代と言われています。
X世代が生まれた1980年中期から1990年代初頭は、冷戦の終結や新自由主義の拡大が進むことで、グローバル化が急速に進展する時代です。グローバル化が進むことで、人々は世界中の多様な価値観や個性を認識するようになります。また、X世代の時代に普及したデジタル機器の性能も向上し、デジタルが当たり前になった時代です。
Y世代の特徴
デジタルに強い
Y世代の生まれた時代では、パソコンや携帯電話が一般に普及しています。そのため、デジタル機器を使って即座に情報を収集することができるようになった時代です。デジタルを活用し、早く正確な情報を集められるようになったことで、生活の利便性は大きく向上したでしょう。
個性や自己表現を大切にする
グローバル化が急速に進んだY世代の時代では、多様性やバックグラウンドを理解することの重要性が高くなりました。そのため、今までの伝統的な終身雇用の働き方から、より自分らしいキャリアを選択することや、自己表現を重視するファッションなどが流行した時代です。
オープンマインドで自由な考え方
多様性を受け入れながら、自己表現を積極的に行うY世代は、常にオープンマインドで自由な選択をする傾向があります。働き方の面では、フリーランス・起業を選択したり、人それぞれの考え方・価値観を尊重したりと、X世代の時代で当たり前だった伝統的な慣習にとらわれないことが特徴です。
Y世代は価値観の転換期で、Z世代にも引き継がれている部分が多いですね。
- グローバル化が急速に進んだ時代 個性や多様性を認識・尊重する
- デジタル機器が一般に普及した時代 デジタルが当たり前になった時代
- X世代の時代とは大きく異なる生活環境 伝統的な慣習にとらわれない
Z世代の定義・特徴
定義・時代背景
Z世代は、1990年代中期から2000年代初頭に生まれた世代と言われています。
Z世代が生まれた1990年中期から2000年代初頭は、テクノロジーが大きく進歩したため、素早い情報の収集・発信はもちろん、柔軟な働き方や自己表現が可能になった時代です。また、「地球温暖化」や「SDGs」などが大きく取り上げられ、社会・環境問題への意識が高まった時代でもあります。
Z世代の特徴
デジタルネイティブ
Z世代は、生まれた時からスマートフォンやパソコンが普及したため、幼いころから当然のようにデジタル機器に触れてきたデジタルネイティブです。そのため、SNSを使ったオンラインでのコミュニケーションが当然だと考えます。また、ネットを用いた情報の収集・発信を得意としています。
柔軟な働き方
テクノロジーが進歩することによって、テレワークやリモートでの会議が行われたり、ブログやインフルエンサーなどのインターネットビジネスも働き方のひとつとして認識されるようになりました。伝統的な終身雇用のサラリーマンを選ぶことを当たり前とせず、自分に合った働き方を柔軟に選択することも増えている世代です。
積極的な自己主張
Y世代の時代にグローバル化が急速に進んだことで、個性や自己主張を重視する傾向が生まれました。Z世代の時代になって、インターネットを使って簡単に情報や自分らしさを発信できるようになり、より積極的に自己主張を行うことができるようになりました。インスタグラムのストーリー機能やTikTokなど、SNSを使えばだれでも簡単に自分らしさを表現できるのがZ世代の特徴です。
社会的責任への意識が高い
Z世代の時代には、環境問題がニュースなどで日常的に取り上げられてきたため、社会・環境問題への意識が高い世代です。実際に、高校の授業などでSDGsがカリキュラムに組まれてるなど、環境問題への問題意識が高くなり、社会貢献に繋がる消費行動を取る人も多いことが特徴です。
Z世代の私にとっては、環境問題を常に意識しているわけではないけれど、どこか潜在的に理解はしているような感覚です。
- 幼いころからデジタルに触れてきた デジタルを使いこなす「デジタルネイティブ」
- デジタル機器が当たり前の時代 柔軟な働き方を選択し、SNSを使った自己主張に積極的
- 社会・環境問題への関心が高まった時代 社会的責任への意識が高い
X世代・Y世代・Z世代の違い
ここからは、X世代・Y世代・Z世代の特徴を踏まえたうえで、カテゴリーごとの各世代の違いについて解説します。
デジタル(インターネット・SNS)
X世代 | インターネットや携帯電話などのデジタル機器が登場した世代。 アナログからデジタルへの転換を受け入れつつも、従来の手法や価値観を重視する。 |
Y世代 | デジタル機器がより一般に普及した世代。 テクノロジーの進化に適応し、デジタルを用いた高い利便性を実現した。 |
Z世代 | スマートフォンやSNSが生活の一部である世代。 ネットやSNSを積極的に活用し、情報発信や共有が得意。 |
働き方・仕事観
X世代 | 安定志向が強く、終身雇用が一般的な世代。 終身雇用のような伝統的なキャリアを選び、組織への忠誠心が強い。 |
Y世代 | 柔軟性と自己表現を重視するため、伝統にとらわれず自由にキャリアを選ぶ傾向がある。 特にフリーランスや起業を選択する人が多くなった世代。 |
Z世代 | フリーランスや副業は当たり前で、柔軟で自己主張の強い働き方を選ぶ。 |
価値観(多様性・社会的責任)
X世代 | 伝統的な価値観を重視する世代。家族や結婚に対して大きな価値を感じる。 |
Y世代 | グローバル化を背景に多様性を尊重する。社会・環境問題への意識が高まりつつある。 |
Z世代 | 環境問題や社会的課題に高い関心を持つ。個性や自己表現を大切にする。 |
消費行動
X世代 | ブランド忠誠心が高く、安定感や品質を重視して買い物をする。 |
Y世代 | オンラインショッピングやデジタル決済が広まった世代。 インフルエンサーに影響を受けやすく、新しいトレンドにも敏感。 |
Z世代 | 持続可能性や個性を重視したブランドコンセプトに興味を持つ。 ネットで情報を集め、レビューや口コミを見てから商品を選択する。 |
コミュニケーション
X世代 | メールやテキストよりも、電話や対面でのコミュニケーションを好む。 |
Y世代 | SNSなどを活用し、リアルタイムのコミュニケーションを行う。 |
Z世代 | オンラインでのコミュニケーションはもちろん、ビデオ通話なども当たり前に行う。 |
娯楽・趣味
X世代 | インドアではテレビや映画を、アウトドアではピクニックなど昔ながらの娯楽。 |
Y世代 | オンラインゲームなどが普及。イベントやフェスに参加する人も多い。 |
Z世代 | YouTubeなどの動画プラットフォーム、eスポーツ、VRなど様々なコンテンツが登場。 |
学習・勉強
X世代 | 大学や専門学校での教育が主流であり、専門知識の獲得が重視された世代。 |
Y世代 | 大学などでの教育に加え、動画などのオンライン学習コンテンツを通じてスキルを磨く。 |
Z世代 | YouTubeやオンラインコミュニティなどが一般化し、自己学習を行うことができる。 |
Z世代の次は「アルファ世代」
ここまで、X世代から時代の流れに沿って説明してきました。最後に、Z世代の次の世代に当たる「a(アルファ)世代」について紹介します。
定義・時代背景
「a(アルファ)世代」は、2010年頃以降に生まれた世代と言われています。
アルファ世代は、デジタルに親しんでいるという点でZ世代に似ている部分も多くありますが、特にアルファ世代は幼少期からのデジタル環境で育ったことが強調されている世代です。Z世代の幼少期には無かった最新のテクノロジーに慣れ親しんでいることで、様々な特徴を持っているのがアルファ世代です。
アルファ世代の特徴
デジタルに特化した世代
アルファ世代は、Z世代の時代には無かった最新のテクノロジーや技術力に幼いころから触れてきたため、Z世代を超えるデジタルネイティブ世代です。そのため、遊びやコミュニケーションもすべてオンライン上で行われることが一般的です。
また、オンライン教育やデジタル学習ツールが豊富なため、学校教育の中でもiPadなどが使われたり、プログラミングの授業が展開されたりと、デジタル社会を生きていくことに特化した教育が行われている世代です。
リアルとデジタルの融合を大切にする
デジタルが当たり前だからこそ感じられる「リアルの体験価値」を大切にします。
例えば、家族では普段からオンライン上のコミュニケーションや教育を行っているからこそ、休日に家族でアウトドアに出かける機会を設けたり、友人とのSNS上のやり取りが日常だからこそ、スポーツ観戦やキャンプに出掛けたりなどを積極的に行うことも、アルファ世代の特徴と言えるでしょう。
社会・環境問題への意識が高い
アルファ世代は、文部科学省により『新学習指導要領』に基づく教育を受けている世代です。『新学習指導要領』には、現代を生きるうえで必要な知識やスキルとして、SDGsをはじめとする社会・環境問題やプログラミングスキルなどがカリキュラムとして組み込まれています。
よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創るという目標を共有し、社会と連携・協働しながら、未来の創り手となるために必要な資質・能力を育む「社会に開かれた教育課程」の実現
1405957_003.pdf (mext.go.jp)(文部科学省『新学習指導要領について』
そのため、Z世代以上に現代社会への問題意識や必要なスキルを理解し、会得していることがアルファ世代の特徴です。
『新学習指導要領』は、幼稚園では2018年、小学校では2020年、中学校では2021年から全国で実施されています。
- 幼いころから最先端のデジタルに触れてきた Z世代以上の「デジタルネイティブ」
- デジタルが生活の一部になった時代 デジタルとリアルを融合した「体験価値」を大切にする
- 『新学習指導要領』に基づく教育を受けている 現代社会への問題意識が高い
まとめ
当記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回は、「X世代・Y世代・Z世代のそれぞれの定義や特徴を踏まえた各世代の違い」をテーマに開設させていただきました。
それぞれの世代は特徴的な価値観や考え方を持っていますが、その価値観を持つに至った時代背景を併せて理解することで、価値観の違いに違和感を持つことも少なくなるのではないでしょうか?また、世代の価値観はあくまで傾向であり、すべての人がその価値観を持っているわけではありません。最終的には、個人が持っている価値観や個性を尊重し合い、みんなが自分らしく幸せに生きられる社会を目指すことが重要ですね。
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