【中小企業診断士】20代前半で養成課程への進学を決めた理由と準備

中小企業診断士になるためには、二次試験を突破する以外に、養成課程へ進学・修了するというルートがあります。

中小企業診断士の養成課程は、難易度が高い二次試験を突破することに代えて、半年~2年間のカリキュラムを受講する時間と費用が必要になるルートです。

そして、私は現在20代前半でありながら養成課程に進学することを決めました。

この記事では、私が養成課程に進学することを決めた理由や、養成課程の審査や必要な準備物についてお話しします。

近年、中小企業診断士試験は、受験者数の増加や一次試験合格率の変化によって、二次試験がますます難しくなっていると言われています。

そのような背景を受けて、診断士を目指している方にとって養成課程へ進学することが1つの選択肢となる場面も増えてくるでしょう。

養成課程に対する情報はあまりネットにも出ていませんので、診断士試験を受験する皆様の参考になれば幸いです!

この記事でわかること
  • 私の中小企業診断士試験の受験歴と結果
  • 養成課程への進学を決めた理由
  • 書類・面接審査の内容と合格のポイント
  • 養成課程へ進学するために準備するべきこと
目次

中小企業診断士の受験と結果

まず初めに、私の中小企業診断士試験の受験履歴と結果についてお話しします。

一次試験

私は、令和5年度の一次試験を受験し、幸いなことに一発で合格することができました。

  • 経済学・経済政策:68点
  • 財務・会計:56点
  • 企業経営理論:79点
  • 運営管理(オペレーション・マネジメント):67点
  • 経営法務:84点
  • 経営情報システム:68点
  • 中小企業経営・政策:80点

    合計:502点(得点率71.7%)

令和4年の10月頃から、本番の8月までの約10か月間は、一次試験の勉強だけ狂ったように進めていました…

二次試験

1次試験に合格し、そのまま令和5年度の二次試験を受験し、ここで不合格になってしまいます。

  • 事例Ⅰ:52点
  • 事例Ⅱ:58点
  • 事例Ⅲ:52点
  • 事例Ⅳ:72点

    合計:234点(得点率58.5%)

完全に実力不足だったと感じています。

そして、二次試験の勉強を進めていく中で、どう学習を進めたら合格できるのかが分からず、このまま合格してすぐに独立できるイメージが湧かず、もう1度してリベンジしたいと感じられませんでした。

養成課程

令和6年の1月ごろに、二次試験の不合格通知を受け取りました。

そして、9月頃から開始になる全日制の養成課程に出願し、合格をいただくことができました。

二次試験の不合格が分かった時点で養成課程への進学を決意していたため、あらかじめ会社に退職の旨を伝えておきました。

養成課程の審査に通過する前に退職手続きを終わらせていたため、もし審査に落ちていたらただのニートになっていました…危ない!

養成課程への進学を決めた理由

私は現在24歳ということもあり、今すぐに時間と費用をかけてまで診断士資格にこだわる必要なないのではないかと思われることも多いです。

そのような中でも、私が養成課程への進学を決めた理由をお話しします。

独立することが目的だったから

私自身、独立診断士になることを目的に学習を進めていました。

独立したい理由には、元々の経営者への憧れや、独立診断士の働き方や業務内容に惹かれていたことが挙げられます。

そして、自分が独立することを見据えた時に、コンサルティング等のスキル面やネットワークを得ることができる養成課程への進学が有益だと考えました。

もちろん、それらを得るために時間も費用もかかってくるのですが、若さを生かした自己投資だと割り切ってしまえば、投資する価値のある選択だと感じることができました。

中小企業診断士として独立した後に実際に食っていけるかはもちろんわかりませんが、チャレンジするなら今かなと思い切って本気でやってみます。

二次試験を突破する熱意が持てなかったから

一度落ちている以上、これは少し言い訳のように聞こえるかもしれないのですが…

二次試験の受験勉強をしている方は全員が感じていると思いますが、模範解答が無いためどのように学習を進めて良いのかわかりません。

また、この筆記試験に通過したとしても、合格後すぐにコンサルティング業務が行えるイメージが湧きませんでした。

そのような理由から、もう一年かけて二次試験の勉強をするくらいなら、養成課程に通って実践的なスキルを学び、確実に資格取得をする方が確実だと考えました。

二次試験ルートには合格後の実務補習がありますが、もっとガッツリ学ぶ機会やネットワークが無いと活動できるイメージがなかなかできませんでした…

養成課程の内容が魅力的だったから

独立を目指すにあたり、養成課程のカリキュラム・内容は非常に魅力的でした。

実施している学校・機関による違いはあるかと思いますが、多くの養成課程は現役コンサルタントの講師陣から、現場に即した実践的なスキルを学ぶことができます。

また、実習などの機会も豊富で、独立後に行うであろう業務を実戦できる経験の場としても生かすことができます。

さらに機関や同期とのネットワークができるなど、独立を目指す上で有益なスキル・経験を得ることができる場として最適な環境が整っていると言えるでしょう。

私は社会人を2年しか経験していませんし、業種もメーカー営業でした。コンサルに関する現場感は皆無でしたので、カリキュラムに対して時間・費用を割いてもいいなと思えるくらいに魅力を感じていました。

本業を簡単に辞められる立場だったから

養成課程には、働きながら通える学校と、全日制で会社を退職・休職しなければ通えない学校があります。

私は全日制の養成課程への進学を決めたため、会社を退職することにしました。

新卒入社から2年しか経っていなかったため、まだまだ新人でしたし、結婚もしていないため、辞めようと思えなすぐに辞められる立場でした。

しかし、会社である程度の役職に就いていたり、家庭を持たれている方であれば、ここまで簡単に退職・休職という判断をすることは難しいでしょう。

もちろん会社には迷惑をかけてしまうことにはなります。しっかり将来やりたいことを伝え、ネガティブな退職ではないことをしっかり伝えたことが円満退職に繋がったと感じています。

養成課程への進学を決めた理由
  • 独立を目的に中小企業診断士の学習を進めていたから
  • 二次試験を突破して独立できるイメージが湧かなかったから
  • 独立するにあたり養成課程の内容が魅力的だったから
  • 本業を簡単に辞められる立場だったから

養成課程にも審査がある

養成課程は、行こうと思えばだれでも行けるわけではありません。

どの養成課程も正式な倍率を公開していませんが、おおよそ2~3倍くらいだと言われています。

さらに二次試験の難易度が上がったり、養成課程の知名度が高まっていることで今後さらに倍率があがる可能性があります。

書類審査

養成課程の審査は、大きく「書類審査」から「面接審査」へと進んで良く流れが基本となっています。

まず「書類審査」ついては、養成課程によって課される審査書類を準備する必要があります。

審査書類の内容
審査申込書 / 履歴書 / 職務経歴書 / 健康診断書 / 小論文 / 自己PRシート など

上記は多くの養成課程で課される提出書類ですが、機関によって別途準備が必要な場合も多いです。

作成するだけでも案外時間がかかるうえに、「健康診断書」については半年以内の診断結果の提出が求められることもあるため、余裕をもって医療機関との調整をしてい置く必要がある点に注意しましょう。

面接審査

書類審査に無事通過したら、次は「面接審査」です。

実施している機関・学校によっては、グループディスカッションや集団面接が実施されることもあります。

面接審査の注意点
・「資格取得」が目的でないことをしっかりとアピールする
・書類で記載した内容と矛盾が無いこと
・服装や言葉遣いなど、面接合格に必要な要素は完璧にする

就活のときに行ってきた面接と大きくは変わりません。

最も重要なのは、養成課程への進学が「取得取得」のためでなく、中小企業診断士として地域経済や中小企業に貢献するためのスキルや経験を積むことであることを強くアピールすることだと感じています。

養成課程の面接で聞かれること
・なぜ中小企業診断士を目指しているのか
・なぜ養成課程というルートを選んだのか
・なぜこの養成課程(受験先)を選んだのか
・養成課程を修了後にやりたいこと/ビジョン
・なぜ現職の会社に就職したのか/退職するのか
・養成課程に通う上で資金面や健康面に問題はないか
・家族や会社の納得を得ているのか

養成課程を実施している機関の特色によって聞かれる内容は異なりますが、上記の質問はどこでも聞かれます。

特に、「なぜこの養成課程(受験先)を選んだのか」についてはある程度の事前調査が必要なので、ここだけはバッチリ話せるように準備しておきましょう。

また、資金面・健康面についてははっきりと「問題ありません」と断言しましょう。

養成課程に進むうえで準備しておくべきこと

養成課程への進学は、時間や費用はもちろんのこと、様々な準備をしておく必要があります。

一次試験を勉強している最中の方でも、もし養成課程への進学を少しでも視野に入れているのであれば、早い段階である程度の準備を進めておくことをオススメします。

学費・生活費

絶対に準備しなければならないのが「資金」です。

まず、養成課程に通うだけで学費が200万円~300万円かかります。

さらに、養成課程に通う期間は収入がゼロになることを想定すると、養成課程期間の生活費を工面しておく必要があります。

私は会社員の2年間、とにかく節約をしつつ副業をすることでまとまった資金を貯めておき、学費と生活費だけでなく独立後の運転資金まで準備しておきました。

さらに忘れがちなのが「税金・保険料」です。

会社員を辞めることで国民健康保険に切り替えることで、今まで会社が折半してくれていた健康保険料がドカンと請求されます。さらに、企業勤めでないと住民税を一括もしくは4分割で支払う必要があります。

これらの税金・保険料は昨年の年収に応じて算出されるため、本業の収入が高い方は特に注意が必要です。

資金繰りを少しでも楽にするために
・「教育訓練給付金」の支給対象となる期間を選ぶ
・住民税や国民健康保険の減免ができるか市区町村に聞いてみる
・早い段階から副業を始めて見る

中小企業診断士の養成課程を実施している機関には、厚生労働省によって「教育訓練給付金」の支給対象になっている機関も多いです。

教育訓練給付制度とは、働く方々の主体的な能力開発やキャリア形成を支援し、雇用の安定と就職の促進を図ることを目的として、厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した際に、受講費用の一部が支給されるものです。

教育訓練給付制度|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

教育訓練給付金は、一時的に学費の全額を払わなければなりませんが、無事修了できれば学費の一部が後から帰ってくる制度です。

受験を検討している機関が対象になっているかは必ずチェックしましょう。

給付金や税金の減免などは、自ら調べたり聞いてみないと適用されるか分からない制度ですので、養成課程への進学を迷っている方は一度調べてみましょう!

会社との退職・休職の段取り

上述しました通り、養成課程への進学では、現在勤めている会社を退職・休職しなければなりません。

働きながら通える養成課程でも、平日夜間の残業をしない環境を整備する必要があります。

つまり、養成課程に受験する前に、必ず会社側と話をしておく必要があるわけです。

私は養成課程の申し込みが始まる前に、「こういう学校があって、受かったら通うと思っています」と直属の上司に伝えておきました。

修了後に独立するのか、企業内診断士として活動するのかなど、ご自身のキャリアの方向性に合わせて、会社の理解を得たうえで気持ちよく学習に集中できる環境を整備しておきましょう。

親族・家族との段取り

養成課程への進学に際しては、親族や家族の理解が必要不可欠です。

養成課程に進学すれば、半年~2年間は必ず現職よりも収入が減少します。

さらに予習復習や実習など、もしかしたら会社員よりも忙しくて家庭に時間を割くことができなくなる可能性もあるでしょう。

このような環境の変化に対して、家族が納得できるような資金面・時間の確保して、将来の展望をしっかり話しておく必要があります。

私自身は、親にはかなり心配されましたが、すべての費用を自己資金で工面したり、修了後に挑戦したいことをしっかりと話すことで納得してもらいました。

強い信念・意思

最後は、養成課程に時間と費用を投資する強い信念・意思を持つことです。

上述しました通り、養成課程に通うためには、かなりの資金・時間を投資し、会社員で培ってきた経験や地位を捨て、家族に与えるリスクを加味した上で覚悟を決める必要があります。

さらに、いざ養成課程に進学した後も、かなりハードなスケジュールの中で実習などをこなさなければ修了できません。

このような労力に対して、準備段階からバッチリと準備を進めるために、養成課程に行って絶対に得たいものや将来のビジョンを明確にしておくことが必要です

養成課程に進むうえで準備しておくべきこと
  • 学費・生活費・税金までをカバーする資金
  • 会社との退職・休職の段取り
  • 収入や時間が減少することに対する親族・家族の理解
  • 準備段階からかかるコストを受け入れる強い信念・意思

まとめ

当記事を最後までお読みいただき、ありがとうございます。

今回は、私が20代前半で養成課程への進学を決めた理由から、養成課程の審査、必要な準備についてお話ししました。

実際、中小企業診断士試験は二次試験のさらなる難化に伴い、養成課程への進学を視野に入れている方も増えています。

しかし、養成課程に進学するためには資金面はもちろんのこと、様々な面でしっかりと準備する必要があり、資格を取りたいがためだけに進学するにはハードルが高いものです。

実際に養成課程が始まってからも、養成課程に関する記事を書いていこうと考えています。

今まさに診断士試験の学習を進めており、養成課程を視野に入れている方にとって少しでも私の経験が参考になれば幸いです!

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