中小企業診断士とは|試験概要・学べることをまとめてみた

  • 中小企業診断士の試験概要
  • 中小企業診断士になるとできること
  • 受験勉強を通じて学べること

「中小企業診断士」という資格をご存じでしょうか?
近年、受験者が増加し人気になっている国家資格である中小企業診断士ですが、どんな資格なのかを知っている方は少ないのではないでしょうか。

  • 中小企業診断士ってどんな資格?
  • 国家資格だし中小企業診断士になるのは大変そう
  • 勉強したら何を学べるの?

中小企業診断士に興味をお持ちの方も、受験を検討している方も、疑問を抱いているのではないでしょうか。

今回は、20代前半に独学で中小企業診断士を受験した私が、試験概要や合格までの手順をお話しします。

試験の概要や合格までのプロセス、試験勉強を通じて学べることをまとめています。
中小企業診断士の取得が、皆様のキャリアアップ・自己研鑽の1つの選択肢になれば幸いです。

難易度は高いですが、キャリアや年代に関係なくオススメできる資格となっています。

目次

中小企業診断士とは?

一言でいうと、日本で唯一の経営コンサルタントの国家資格です。

中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家です。

中小企業庁:中小企業診断士とは (meti.go.jp)

中小企業庁が実施する中小企業診断士試験の合格者を、「中小企業支援法」第11条に基づき、経済産業大臣が登録します。

どんな仕事ができるの?

中小企業診断士の業務は、中小企業支援法で「経営の診断及び経営に関する助言」とされています。

診断士の業務は、支援法では中小企業者がその経営資源に関し適切な経営の診断及び経営に関する助言とされています。現状分析を踏まえた企業の成長戦略のアドバイスが主な業務ですが、その知識と能力を活かして幅広く活躍しています。

中小企業庁:中小企業診断士とは (meti.go.jp)

名前の通り、中小企業の経営状況を診断し、それに基づく助言をすることが中小企業診断士の主な業務となります。

そして、診断・助言の方法は人それぞれで、診断士がそれぞれ得意な分野を生かして経営を手助けすることが求められます。

独占業務はない

中小企業診断士の大きな特徴が、士業でありながら独占業務がないことです。

一方、社会保険労務士や行政書士などの他の士業には、資格保有者のみが携われる独占業務が存在します。

経営コンサルタントの業務自体は、中小企業診断士の資格が無くて携わることができるため、中小企業診断士は他の士業に比べて、取得の価値が低いと言われることもあります。

しかし、中小企業診断士の取得は、国家資格という形で知識を有していることの証明になることや、中小企業診断士間のネットワークを活用できるなどのメリットも多い側面もあります。

中小企業診断士の試験概要

中小企業診断士として登録できるまでの流れを解説します。

大まかに、「一次試験→二次筆記試験→二次口述試験→実務補習→登録
この一連の流れを経て、中小企業診断士として登録ができます。

一次試験

形式

マークシート

科目

全7科目

  • 経済学・経済政策
  • 財務・会計
  • 企業経営理論
  • 運営管理(オペレーション・マネジメント)
  • 経営法務
  • 経営情報システム
  • 中小企業経営・中小企業政策

合格条件

受験した科目の総得点の60%以上であって、かつ1科目でも40%未満のないこと。
(総得点が60%に満たなかった場合でも、科目単位で60%以上の得点率の科目については、「科目免除」として以降2年間は免除を申請できます。)

合格率

34.5%(令和1年度から4年度における合格率の平均値)

日程

8月上旬(第1週が多い)の土・日曜日の2日間

受験資格

誰でも受験可能

受験料

14,500円

上記が一次試験の概要になります。

すべての科目について範囲が幅広く、インプットだけでかなりの学習時間が必要になります。
また、出題される問題はマークシートとはいえ、一筋縄では判断ができない正誤問題が出題されます。

合格率は年々上昇傾向にありますが、科目合格を活用しながら計画的に学習を進めることが必要になります。

一次試験に合格すると、その年と翌年の二次試験への受験資格を獲得できます。

二次筆記試験

形式

記述式

科目

4科目

  • 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅰ(組織・人事)
  • 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅱ(マーケティング・流通)
  • 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅲ(生産・技術)
  • 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅳ(財務・会計)

合格条件

総得点の60%以上でかつ一科目でも40%以下の科目がないこと

合格率

18.4%(令和1年度から4年度における合格率の平均値)

日程

10月の最後or11月の最初の日曜日

受験資格

一次試験合格者

受験料

17,800円

上記が二次筆記試験の概要になります。

各事例について、企業の変遷や事業についてが書かれている「与件文」を読み、100字×5問程度の設問に回答します。

二次筆記試験の最大の難しさは、一次試験のマークシートと異なり、明確な回答が開示されていないことです。

二次試験で使える知識のインプットに加え、限られた文字数で簡潔に内容を伝えることが合格のガキとなります。

二次筆記試験に合格すると、その年の二次口述試験への受験資格を獲得できます。

二次口述試験

形式

面接(10分間)

合格条件

評定が60%以上であること

合格率

99.7%(令和1年度から4年度における合格率の平均値)

日程

1月の第3週の日曜日

受験資格

二次筆記試験の合格者

受験料

二次筆記試験の受験料に含まれています。

上記が二次口述試験の概要になります。

二次筆記試験で出題される事例をもとに、どのような助言を行うかを面接形式で問われます。

合格率は99.7%と非常に高く、落ち着いて話せばほとんど大丈夫であると言えるでしょう。

実務補習

二次口述試験に合格後、3年以内に「実務補習」を15日以上受けることで、中小企業診断士としての登録が可能になります。

実務補習の内容

約5名程度のグループを構成し、実在する中小企業に対して助言・提案を行います。

日程

中小企業診断士協会が指定する日程に参加します。
(二次試験後の2月に15日、7~9月に5日ずつなどの日程から選択することができます。)

費用

15日で約18万円

上記が実務補習の概要になります。

中小企業診断士として登録するための最後のステップです。

内容はかなりハードですが、中小企業診断士として活動するにあたっての実務経験の蓄積や、同じ立場である駆け出し診断士とのネットワーク構築が可能です。

以上が、中小企業診断士試験の試験概要となっています。

学習範囲が広く、膨大な学習時間の確保が必要あり、ストレート合格できる確率は約5%となっています。

このように、国家資格らしい難関資格と言えます。

中小企業診断士試験で学べること

中小企業診断士試験を通じて学ぶことができることをお話しします。
結論としては、幅広い知識や論理的思考力など、あらゆるビジネスシーンで生かせる学習内容となっています。

経営に関する体系的な知識

上述した通り、中小企業診断士の一次試験ではジャンルの異なる7科目の受験が必要です。

経営戦略や財務など、経営コンサルタントとして助言を行う上で必須な知識はもちろん、ITや経済学などの学習も必要となります。また、マークシート形式とはいえ非常に細かな論点を問う正誤問題が出題されるため、知識を深く理解しておく必要があります。

それゆえに、経営に関するあらゆる知識を体系的に、かつ正誤判断ができるまで深く学ぶことが必要になります。

私は、大学で経済学を専攻していたことや、簿記二級を持っていたため、経済学や財務会計はある程度の事前知識がありました。一方、運営管理や経営情報システムなど、一切触れたことのない分野への勉強に苦戦しました。

これらの知識は、経営コンサルタントとして生かせることはもちろん、新聞やニュース記事などの理解度が格段に高まなど、スキルアップに非常に有効です。

ロジカルシンキング(論理的思考力)

一次試験では、細かな論点を問う正誤問題。二次試験では、事例企業の課題と経営者の想いを把握し、限られた文字数の中で的確かつ簡潔に助言を記述します。

このように、中小企業診断士に合格するには、問題を解くプロセスで論理的に物事を志向する能力が求められます

日常での会話やプレゼン、文章記述などのあらゆる場面で、「物事を正確に把握する能力」と「相手に伝える力」が向上します。

他にも学びになったことはたくさんあるのですが、要約すると以上の2つになるかと思います。

経営コンサルタントとして活躍していく上で

①必要な多くの知識をインプット
②インプットした知識を正確に生かせる論理的思考性 が学べるというわけです。

勉強中は切羽詰まっていましたが、終わってみるとよく考えて設計されているんだなあと痛感します。

あらゆるビジネスシーンで、どんな使い方もできるため、キャリアアップや独立を達成する方々が多いのも納得です。

まとめ

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
以上、今回は、中小企業診断士の概要、資格取得までの流れ、中小企業診断士の勉強を通じて学べることをまとめてみました。

もちろん国家資格ということもあり、合格は決して簡単ではありません。
しかし、経営の知識をここまで網羅的に学べて、様々な場面で生かすことができる資格は他にありません。

皆様がもしスキルアップや自己研鑽を頑張りたいとお考えであれば、中小企業診断士への挑戦をひとつの選択肢に入れてみてはいかがでしょうか?

他にも勉強の効率を高めるテクニックなどを記事にしておりますので、ぜひ併せてお読みいただけますと幸いでございます。

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