Z世代の定義や特徴
Z世代マーケティングがなぜ重要なのか
Z世代の特徴を踏まえたマーケティングのポイント
Z世代マーケティングの事例企業
近年、「Z世代」という言葉をよく耳にするのではないでしょうか。
Z世代と呼ばれる若者たちは、今まさに就職して、社会進出を果たしています。
収入が増えることで消費の中心となるなど、社会的影響力が大きくなるZ世代に向けたマーケティングに注力することは、事業をさらに成長させるために必要不可欠となっています。
- そもそも「Z世代」って何?
- Z世代はやばいって聞くけど、どんな特徴があるの?
- Z世代に向けたマーケティングで考えるべきポイントは?
今回は、このような疑問を解決できるよう、Z世代の定義や特徴から、Z世代の特徴を踏まえたうえでのマーケティングのポイントを詳しく解説します。
筆者自身も、現在24歳のZ世代に該当します。今までとは全く異なった価値観を持つと言われるZ世代について、自分な価値観や経験を踏まえたうえで有効と考えられるマーケティングのポイントをお話しします。
次世代のニーズをとらえたマーケティングで差をつけましょう!
Z世代とは
まず初めに、そもそもZ世代とは何を意味するのかを解説します。
Z世代とは、1999年から2011年に生まれた人々のことを指します。
日本においては概ね、1999年から2011年までに生まれた世代に相当している。 大半が1970年代から1980年代生まれの子供世代に当たる。
Z世代 – Wikipedia
つまり、現在の10代から20代が該当し、新社会人や学生がZ世代に該当します。
また、「世代」の概念は全世界共通で、アメリカでは「ジェネレーションZ」と呼ばれています。
参考に、Z世代以外の各年代別の分類表を掲載します。
Z世代の特徴
Z世代が持つ価値観は、今までとは全く異なる特徴的なものです。
「Z世代はやばい」「Z世代は変わっている」など、このように言われるワケを探っていきます。
ネット・SNSに慣れ親しんでいる
Z世代は、生まれた時からスマホやパソコンが普及していた「デジタルネイティブ」です。
Z世代に該当する10代~20代は、それ以上の年齢層と比較して圧倒的にインターネットの平均利用時間が長くなっています。
総務省|情報通信政策研究所|情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査 (soumu.go.jp)
情報収集・発信が得意
ネットに慣れ親しんでおり、ネットやSNSを上手に活用し、情報を収集・発信することが得意です。
商品を購入する際には、数ある商品の中からネットで口コミ・評判を調べてから購入します。
また、トレンドや人気商品をインフルエンサーの発信などから即座に把握します。
さらに、自身のSNSアカウントで商品の口コミ・感想の発信まで行います。
特に、自身のお気に入りや好みの商品があれば、Instagramなどを用いて積極的に共有します。
その一方で、雑誌などの書面やテレビなどでの情報収集はほとんど行いません。
ネット環境で必要な情報や欲しいコンテンツが十分閲覧できているため、それ以外の媒体の必要性が低下していると考えられます。
現実主義/コスパ重視
Z世代の消費行動は保守的で、無駄なものにお金を使いたくないと考えます。
その原因の一つに、成長過程で様々な社会的・経済的危機を経験していることが挙げられます。
たとえば、2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災、2019年のコロナ禍などがあります。
学生のうちにこのような経験をしてきたことで、将来何があるかわからないという潜在的な不安を常に抱えています。
自分が本当に価値を感じるものにお金を使い、無駄な出費はしたくないと考えるからこそ、綿密な情報収集や比較検討を行って購買を行う特徴があります。
自分の価値観や個性を大切にする
Z世代は、人の個性や価値観を尊重する傾向があります。
Z世代が生まれたころには、グローバル化が進行しており、ネットを通じて海外の情報なども手軽に獲得することができました。そのため、世界には多種多様な人々が存在し、人々が個性や価値観を持っていることを当然のように認識しているのです。
自らが持っている価値観を大切にするため、人と被らない商品や「自分らしさ」を表現できるものに価値を感じやすいことも特徴です。
リアルでの経験も大事
Z世代にとっては、デジタルが日常であるからこそ、「リアル」での体験に価値を感じやすいと言われています。
現にZ世代の中ではスポーツ観戦やフェスなどが人気なように、その場で体験しなければ味わえない雰囲気や盛り上がりに惹かれやすい傾向があります。
デジタルだけでなく、リアルで体験したからこそ価値に納得することができるのです。
社会問題に関心がある
Z世代が生まれ育った時代は、社会問題への関心が高まった時代でした。
実際に、学生時代には「SDGs」などの社会問題に関する内容がカリキュラムに含まれており、社会問題への知識や関心が深い世代であると言えます。
将来的にZ世代が直面する社会問題にに対し、社会貢献によって解決したいとも考えます。
このように、社会問題への関心が強いZ世代には、「エシカル」と呼ばれる「倫理的価値・社会貢献」をコンセプトとした商品が魅力的に見えるかもしれません。
ネット・SNSに慣れ親しんでいる
情報収集・発信が得意
現実主義/コスパ重視
自分の価値観や個性を大切にする
リアルでの経験も大事
社会問題に関心がある
Z世代マーケティングが重要な理由
近年、多くの企業がZ世代を対象としたマーケティングに注力しています。
なぜZ世代マーケティングが重要なのかを考察していきます。
消費の中心となる世代であるから
今までは、人口のボリュームゾーンであり、経済的にも余裕のある高齢者に向けたマーケティングが積極的に行われてきました。しかし、多くの高齢者は今後購買力を失っていくと同時に日本の総人口は減少しています。
そのような中で、これから社会進出を果たし消費の中心になっていくZ世代を獲得することで、高齢者に代わる顧客獲得・売上確保を図る必要があります。
社会への影響力が大きいから
Z世代の特徴の一つに、価値を感じた商品を自身のSNSサイトなどに発信するなど、「デジタルに強い」ことをお話ししました。
SNS上に発信された内容は、会社や商品・サービスのイメージとして広がっていきます。さらに、そのイメージが他の消費者の購買の参考材料となり、次の購買のきっかけのひとつとなっていきます。
情報を発信することが得意なZ世代が台頭し社会への影響力が大きくなることで、マーケティング上でも意識する必要があるのです。
Z世代の消費者に受け入れられるためには、SNSでいい商品として話題になることや、「バズる」ことで商品の認知度を広げていくなど、従来のマーケティング手法とは異なった施策が必要になります。
Z世代マーケティングのポイント
ここからは、Z世代の特徴を踏まえたうえで、Z世代マーケティングのポイントについて解説します。
SNSを活用する
デジタルネイティブであるZ世代をターゲットにするうえで、SNSなどのデジタルツールを活用することは必要不可欠です。
SNSを用いたマーケティングを行う際には、目的別にSNSツールを使い分けることが重要です。
よく使われているSNSツールが、どのような用途で使われているのかを把握しましょう。
【Z世代調査】よく使うSNSは?ショッピングなどSNS利用目的は?買い物に対する意識や行動は? | ネットショップ担当者フォーラム (impress.co.jp)
すべてのSNSツールで「情報収集」を目的に使用していることもわかります。さらに、Instagramには「友人の近況把握」や「情報発信」がランクインしていることが特徴的です。
このように、多くのツールを活用して消費者に情報を届けることや、Instagramでのハッシュタグ(#)投稿を促すようなキャンペーンで消費者自身が発信したくなる工夫が有効でしょう。
それぞれのSNSツールの特徴や用途に合わせ、情報の拡散や口コミの誘発などの目的を区分して使い分けることが重要です。
口コミを誘発する
Z世代に限らず、実際に商品を使用したり、サービスを受けた第三者からの評価は信頼できる情報です。
総務省『平成28年度 情報通信白書』n1400000.pdf (soumu.go.jp)
グラフを見ると、年代にかかわらず口コミは参考にされやすい情報であることがわかります。
特に20代は、「かなり参考にする」と回答した方が最も多い世代です。
さらにZ世代は、気に入った商品・サービスがあれば積極的に発信する特徴があるため、「口コミ」を生み出してくれる消費者になり得るのです。
ハッシュタグ投稿の促進キャンペーンの実施や、知人に紹介したくなる興味深いコンテンツを充実させ、消費者同士が良い口コミを拡散し合う状況を目指しましょう。
わかりやすい/信頼できる情報を提供する
Z世代は、しっかりと情報を集めたうえで価値を感じたものでなければお金を使いません。
そのため、提供する情報の質に注意する必要があります。
提供された情報に疑問を抱いたり、ネガティブな意見があればその消費をためらうでしょう。
正しい情報を開示することはもちろん、有名インフルエンサーの口コミや認証機関などの意見などの客観的な視点があると信頼を獲得しやすいでしょう。
「イミ消費」を促す
X世代、Y世代、Z世代と移り変わっていく中で、それぞれの世代には消費行動に特徴があると言われています。
時代の変化の中で、何に対してお金を使いたいと考えるかの価値観も変化していきます。
1970年~1990年ごろには、「モノ消費」と呼ばれる消費への価値観が主流でした。
高度経済成長期における価値観で、良い暮らしのために良いモノが欲しいと考えます。
この価値観のもとでは、「機能的価値」に優れた商品が売れていきました。
1990年~2010年ごろには、「コト消費」が該当します。
バブル崩壊を受けて、「モノ」を持つことでなく、旅行やアクティビティなどの「体験的価値」への関心が高まります。経験や時間にお金を使うようになりました。
そして、2010年以降のZ世代が持っている消費に対する価値観の「イミ消費」です。
「イミ消費」とは、環境問題や地域貢献など、その消費が社会貢献につながることを重視する消費行動です。
社会問題などに関心が強いZ世代にとっては、潜在的に社会貢献をしなければならないと考えて入り、その行動が将来の自分たちの生活に繋がっていると考えます。
商品・サービスの性能や質が優れているだけでなく、ブランドコンセプトやミッションを明確に打ち出す、社会的に価値が固い商品であることを積極的に発信しましょう。
Z世代にとって、他社製品との明確な差別化点となり、商品を選んでもらえるきっかけの一つになると考えられます。
デジタルだけで伝えられない情報をリアルで体験してもらう
化粧品などは、実際に体験しなければ価値が伝わりにくい商材です。このような場合は、インターネット上の情報のみでなく、実際に手に取って体験できる機会を設けることで価値を伝えやすいでしょう。
また、リアルで消費者との接点を設けることで、消費者が商品を手に取った時の感想や意見を収集し、商品の開発や改良に生かすことができます。
デジタルだけにとどまらないリアルの「体験価値」を提供し、消費者の購買意欲の向上を図りましょう。
Z世代マーケティングの成功事例
実際にZ世代マーケティングに成功した企業の事例をご紹介します。
湖池屋
ポテトチップスなどを販売している湖池屋は、Z世代をターゲットにした商品開発やマーケティングに力を入れています。
そのうちの施策の一つに、「湖池屋FARM大豊作!」というゲームの開発があります。
ゲームでもらえるクーポンで、おトクにお菓子が買える!? セガ エックスディーのゲーミフィケーションを活用した 『湖池屋FARM 大豊作!』の提供を本日より開始! (koikeya.co.jp)
「湖池屋FARM大豊作!」は、湖池屋オンラインショップ(ECサイト)のLINE公式アカウントを友だち登録することで遊戯できるようになります。さらに、農場を発展させていく当ゲームを進めていく中で、ECサイトで使える限定クーポンが配布されます。
この施策により、LINE公式アカウント友だち登録者数は30%上昇、ECサイトのMAU(Monthly Active Usere:月間利用者数)は20%上昇したと言います。
Z世代にとっては、スマホでゲームを楽しむと同時に、自身が農園を発展させていくことによる愛着を感じ、ECサイトが単なる購買の場では無くなったと感じるでしょう。
Z世代の「デジタル活用力」を用いて消費者の囲い込み・ファン化に成功した事例です。
※「湖池屋FARM 大豊作!」のプレイ期間は2023年7月で終了しています。
写ルンです
Z世代の中で「写ルンです」がひそかに流行していることはご存じでしょうか?
「写ルンです」は、1986年に発売された、「エモい」写真を撮影できるインスタントカメラです。
【しくみがわかる】写ルンです 1.基礎編 – 分析052 – LENS Review
旅行などのリアルでの体験に価値を感じるZ世代が、旅行での思い出を「エモい」写真に収め、インスタグラムなどに投稿しているのです。
実際、インスタグラムで「#写ルンです」の投稿数を調べてみたところ、100万件を超えるハッシュタグ投稿が確認できました。
Z世代の「SNSへの強さ」と「リアルでの体験価値」をうまく利用した成功事例と言えるでしょう。
まとめ
当記事を最後までお読みいただきありがとうございます。
今回は、Z世代の特徴とZ世代マーケティングのポイントを解説しました。
Z世代は、従来とは大きく異なる価値観を持っているため、「やばい」「変わっている」と言われることも少なくありません。しかし、Z世代の心をつかむマーケティングの必要性は大きくなっていきます。
Z世代のと好調を踏まえ、戦略的なマーケティングを行うことが重要だと考えられますので、戦略立案の参考となれば幸いです。
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