【中小企業診断士】迷ったら選ぶべき選択肢はコレ!10年分の過去問を分析して分かった傾向

中小企業診断士の一次試験は、全7科目がマークシート形式の問題となっています。

診断士試験に限らずマークシート形式の問題となると、

・どんなに分からない問題でも4分の1で当たるはず…
・なんか同じ記号が連続で続きすぎて怖いな…
・問題を作成する側ならどの選択肢に正解を置くかな…

このようなことを一度は考えたことがあるのではないでしょうか?

今回は、中小企業診断士の一次試験について、「正解が置かれやすい選択肢」や「選択肢が連続する可能性」など、マークシートの選択肢についてお話しします。

中小企業診断士試験は、絶対に落としてはいけない問題をしっかりと取れれば十分合格は狙えます。

しかし、どの科目にも「受験生みんなが分からない初見の問題」もかなり出題されます。

こう考えた時に、難題を正解できる「運」の力も必要になる場面があることも否めません。

合格率を1%でも高めるために、過去の出題傾向を知っておくと本番の強い味方になるかもしれません。

この記事は「運」を少しでも味方につけるためのものです。中小企業診断士として活動することを踏まえると、もちろんしっかりと学習して高得点を取ることが大切です。あくまで「試験に突破するため」であることをご了承ください。

この記事でわかること
  • 中小企業診断士・一次試験での「運」
  • 一次試験7科目でそれぞれ正解に選ばれやすい選択肢
  • 同じ選択肢が連続で正解になる可能性
  • 過去の選択肢の傾向を踏まえた戦略
目次

中小企業診断士試験における確率の重要性

まず、中小企業診断士試験の概要を踏まえて、分からない問題も正解する確率の重要性についてお話しします。

中小企業診断士・一次試験の合格条件

まず、中小企業診断士・一次試験の合格条件を改めて確認しておきましょう。

一次試験の合格基準

①第1次試験の合格基準は、総点数の60%以上であって、かつ1科目でも満点の40%未満のないことを基準とし、試験委員会が相当と認めた得点比率とします。
②科目合格基準は、満点の60%を基準として、試験委員会が相当と認めた得点比率とします。

【引用】令和5年度中小企業診断士 第1次試験案内・申込書 05_1ji_annai.pdf (j-smeca.jp)

一次試験は100点×7科目の試験ですので、700満点中420点を取り、かつ40点以下の科目が無ければ合です。

もちろんすべての科目で60点以上を取ることが理想です。

しかし、7科目もあれば1科目くらいは苦手で得点が伸びない科目もあるでしょう。

この条件に基づけば、苦手な問題を得意な科目でカバーできれば合格できるため、戦略的に合格を狙うことが有効です。

「落としてはいけない問題」と「無理ゲーな問題」

中小企業診断士の一次試験では、すべての科目で「落としてはいけない問題」と「無理ゲーな問題」が出題されます。

具体例として、中小企業診断士試験の予備校・参考書出版の最大手であるTACの過去問題集で公開されている「TACデータリサーチによる正答率」を見てみましょう。

A
(正答率80%以上)
B
(60%以上80%未満)
C
(40%以上60%未満)
D
(20%以上40%未満)
E
(正答率20%以下)
9(22%)16(39%)10(24.4%)3(7.3%)3(7.3%)
令和4年度 企業経営理論の正答率の分布

この分類では、「A」や「B」が落ちしてはいけない問題、「D」や「E」が無理ゲーな問題と言って良いでしょう。

実は、多くの受験生が正解してくるであろう「A」や「B」だけをしっかり得点できれば、得点率60%を超えることができてしまうんです。

勉強の方向性として、出題可能性も高く他の受験生も正解してくる「落としてはいけない問題」を確実に仕上げることを優先するべきと言えるでしょう。

分からない問題を正解できる力

とはいえ、全部の科目で「落ちしてはいけない問題」をすべて完璧に正解できるなんてことはありません。

ここで必要になるのが、「分からない問題を正解できる力」であり、「運を味方につける」ことです。

問題の難易度に合わせて対策を検討してきましょう。

「C(正答率40%以上60%未満)」…2択(もしくは3択)まで絞り、50%を的中させる。

まず、「C」に分類される問題が、合否・足切りの命運を分ける問題です。

「C」の問題は、多くの場合が学習してきた内容で選択肢を絞れるが、確信的な1つの解答に絞れないケースが多いです。

ここで少しでも得点率を上げることで、「A」や「B」の正解と合わせて60%に到達することが、最も現実的に合格点を取るポイントになります。

「D」「E」…なるべく答えを絞りつつ、25%を的中させる。

「D」と「E」は、1つでも正解できれば差がつく問題です。

試験本番までの限られた時間の中で、7科目すべて「D」や「E」の問題にまで対応できるほど学習を進めるのは至難の業です。

そこで、基本的な学習で得た知識を活用して選択肢を絞りつつも、最後は運を味方につける戦い方も1つの戦略だと考えられます。

試験本番は緊張しますし、一日中問題を解き続けるため集中力も切れてきます。最後の切り札として、確率にかけることも視野に入れておくことで、難解な問題の時間をかけずにタイムマネジメントがうまくかもしれません。

正解が置かれやすい選択肢の傾向

ここでは、各科目でどの選択肢に正解が置かれやすいのかを分析してみます。

全7科目について、過去10年分の過去問から、正解が置かれた選択肢の個数を数えて確率を出しています。

本当に分からない問題と出会ったとき、過去に選ばれた回数の多い選択肢を選んでおくと、当たりやすい可能性は高いかもそれません。

経済学・経済政策

まずは1科目目、経済学・経済政策です。

年度合計
令和5年度4739225
令和4年度6664325
令和3年度3596225
令和2年度7756025
令和元年度4876025
平成30年度8467025
平成29年度5497025
平成28年度4587125
平成27年度6595025
平成26年度7683125
出現数(確率)54
(21.6%)
57
(22.8%)
70
(28%)
60
(24%)
9
(3.6)
250
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過去10年分の出題では、「ウ」が正解の問題が28%と最も多いことが分かりました。

経済学・経済政策では、「オ」の選択肢が出てくることもあるため、確率勝負が難しい科目ともいえます。

さらに、過去3年間分だけを見ると「オ」も含めてバランスよく選択肢が振り分けられている傾向も読み取れます。

財務・会計

2科目目、財務・会計です。

年度合計
令和5年度31354025
令和4年度2887025
令和3年度2797025
令和2年度5668025
令和元年度6766025
平成30年度5596025
平成29年度7494125
平成28年度8467025
平成27年度44106125
平成26年度(1問は全員正解)45105024
出現数(確率)46
(18.5%)
63
(25.3%)
78
(31.3%)
60
(24.1%)
2
(0.8%)
249
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経済学と同じく、過去10年分の出題では、「ウ」が正解の問題が31.3%と最も多いことが分かりました。

特に傾向として、「ア」が選ばれることが少ないと言えるのではないでしょうか。

出題者側の意向を考えると、財務会計によく出題される計算問題で、最初に正解の選択肢を置きたくない気もわかる気がします。

企業経営理論

3科目目、企業経営理論です。

年度合計
令和5年度121278241
令和4年度13797541
令和3年度78165541
令和2年度411913441
令和元年度101088541
平成30年度914108041
平成29年度612613441
平成28年度981112141
平成27年度128109241
平成26年度79139240
出現数(確率)89
(21.8%)
99
(24.2%)
99
(24.2%)
92
(22.5%)
30
(7.3%)
409
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過去10年分の出題では、「イ」と「ウ」が正解の問題が24.2%と最も多いです。

企業経営理論は、かなり正解の選択肢にバラつきがあるようです。

「オ」も7.3%と無視できないくらいに正解が置かれているため、なかなか確率勝負が通用しにくいかもしれません。

文章をしっかり読んで、いかに選択肢を絞っていけるかが勝負になりそうです。

運営管理

4科目目、運営管理です。

年度合計
令和5年度
(2問は全員正解)
4710111042
令和4年度
(1問は全員正解)
4111014443
令和3年度912128344
令和2年度610139644
令和元年度1210106644
平成30年度7111015144
平成29年度910157445
平成28年度961414245
平成27年度144177244
平成26年度912127343
出現数(確率)83
(18.9%)
93
(21.2%)
123
(28.1%)
98
(22.4%)
41
(9.4%)
438
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運営管理についても、過去10年分の出題では、「ウ」が正解の問題が28.1%と最も多いことが分かります。

「オ」を含む5択の選択肢がある中で、「ウ」だけが28%とかなり多く振り分けられているようですね。

すべての年度で「ウ」が正解の問題が多いため、他の科目よりも信用できるかもしれません。

経営法務

5科目目、経営法務です。

年度合計
令和5年度5956025
令和4年度4759025
令和3年度8575025
令和2年度8566025
令和元年度7954025
平成30年度7648025
平成29年度(1問は全員正解)6387024
平成28年度62210020
平成27年度6865025
平成26年度7457023
出現数(確率)64
(26.4%)
58
(24.0%)
53
(21.9%)
67
(27.7%)
0
(0%)
242
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過去10年分の出題では、「エ」が正解の問題が27.7%と最も多いことが分かります。

今までの科目がすべて「ウ」が最多だった中で、やっと違う選択肢が選ばれやすい科目が出てきましたね。

経営法務は、「オ」の選択肢がない4択(25%)の勝負ができます。

かつ、法律の条文から2択まで絞れる問題も多いため、絞ったのちに「エ」や「ア」を積極的に選ぶ作戦も有効かもしれません。

経営情報システム

6科目目、経営情報システムです。

年度合計
令和5年度3855425
令和4年度(1問は全員正解)9135624
令和3年度5656325
令和2年度3688025
令和元年度7954025
平成30年度10456025
平成29年度9655025
平成28年度7684025
平成27年度41047025
平成26年度5929025
出現数(確率)62
(24.9%)
65
(26.1%)
50
(20.1%)
59
(23.7%)
13
(5.2%)
249
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過去10年分の出題では、「イ」が正解の問題が26.1%と最も多いです。

一日目と比較して、「ウ」が選ばれる可能性が落ちている傾向があります。

また、無視できないのが直近3年の「オ」の選ばれやすさです。

選択肢のバラつき度合も高まり、頻出の用語をしっかりインプットしてなるべく選択肢を絞らないと厳しそうです。

中小企業経営・中小企業政策

7科目目、中小企業経営・中小企業政策です。

年度合計
令和5年度10 1089542
令和4年度4111110642
令和3年度
(3問は全員正解)
571511139
令和2年度1013117142
令和元年度871213242
平成30年度961114242
平成29年度891112242
平成28年度9101012142
平成27年度118711542
平成26年度126913242
出現数(確率)86
(20.6%)
87
(20.9%)
105
(25.2%)
112
(26.9%)
27
(6.5%)
417
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過去10年分の出題では、「エ」が正解の問題が26.9%と最も多いです。

問題数も多く、「オ」の選択肢も含まれるため、なかなかの強敵です。

しかし、この科目は知っていれば解ける問題や、2択に絞れる問題も多いです。

確実に選択肢を絞れる知識をつけたうえで、「エ」が頻出であると知っておくと便利かもしれません。

全科目を合計した選択肢

最後に、全7科目を合計した数値も計算してみましょう。

年度合計
経済学・経済政策545770609250
財務・会計466378602249
企業経営理論8999999230409
運営管理83931239841438
経営法務645853670242
経営情報システム6265505913249
中小企業経営・政策868710511227417
出現数(確率)484
(21.5%)
522
(23.2%)
578
(25.6%)
548
(24.3%)
122
(5.4%)
2254
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全7科目・過去10年分の合計では、「ウ」が25.6%で最多という結果となりました。

さすがに7科目を合計すると、かなり確率は収束してきます。

とはいえ、やはり選択肢の最初に来る「ア」は多少選ばれにくいのではないでしょうか。

また、「オ」が含まれる5択の問題がある科目は、「オ」にもしっかり正解が置かれていることが分かるため、しっかり選択肢を絞れる知識が求められています。

正解が置かれやすい選択肢の傾向のまとめ
  • 経済学・経済政策は「ウ」が28%と最多
  • 財務・会計は「ウ」が31.3%と最多
  • 企業経営理論は「イ」と「ウ」が24.2%と最多
  • 運営管理は「ウ」が28.1%と最多
  • 経営法務は「エ」が27.7%と最多
  • 経営情報システムは「イ」が26.1%と最多
  • 中小企業経営・政策は「エ」が26.9%と最多

同じ選択肢が連続する可能性

次に、同じ選択肢が何回も連続で正解になっている回数を調べてみました。

これまでと同じく、各科目の10年分の過去問をチェックして傾向をまとめてみます。

年度5回連続4回連続3回連続
経済学・経済政策0010
財務・会計028
企業経営理論147
運営管理2211
経営法務017
経営情報システム015
中小企業経営・政策0219
出現数3回12回42回
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計数した結果はこの通りです。

想像以上に3回、4回連続で同じ選択肢が選ばれることがあることが分かりました。

逆に、5回連続で同じ選択肢が選ばれたのが3回のみであり、6回以上連続することはありませんでした。

マークシート問題を解いていき同じ回答が連続したときは、3回くらいなら何も気にせず、5回続いたときは疑いを持つようにすると良いかもしれません。

選択肢の傾向を踏まえた戦略

ここまで、一次試験7科目で正解に選ばれやすい選択肢や、同じ選択肢が連続で正解になる可能性について見てきました。

これらを踏まえて、本番で1%でも得点率を上げるための切り札としての戦略を考えてみます。

戦略① 1日目の4科目は分からなければ「ウ」を選ぶ!

1日目の4科目(経済学・財務会計・企業経営理論・運営管理)は、すべて「ウ」が正解の問題が多いことが分かりました。

過去の傾向だけを踏まえるのであれば、本当に分からない問題が出てきたら「ウ」を選ぶと良いかもしれません。

これから収束することを読むのならば、逆に「ウ」を避けるのもいいかもしれませんね。

戦略② 財務・会計の計算問題では「ア」は避ける!

財務・会計では、「ア」が選ばれた確率は18.5%と極端に低い数値でした。

財務・会計は全7科目の中でも計算問題が多く、先頭の「ア」に正解を置きたくないのではないでしょうか。

計算問題の中には、選択肢にある数値を当てはめていけば解ける問題が出てきます。

この時、先頭にある「ア」の数値から当てはめていくと、一発で正解が出てくるため他の選択肢を試算せずに済むことになります。

財務・会計に限らず、計算問題は「ウ」や「エ」などが怪しいと想定しておくと良いかもしれません。

せっかく作った問題が「1回当てはめて計算してみたら当たってた」と解かれてしまうのは嫌でしょう!

戦略③ 同じ選択肢が3回続いても気にしない!

過去10年分では、同じ選択肢が3回続くことはもはや当然なくらいに出てきました。

そのため、3回連続しても無駄な心配はせずに解くことに集中しましょう。

逆に5回連続はかなりレアなため、1度確認をしてみても良いかもしれません。

とはいえ、この記事を書くにあたって過去問を分析して感じたのは、「実力が無いと受からない試験になっている」ことです。当然ですが、この分析はあくまで傾向であり、これだけで受かるのは不可能です。

しっかりと問題を解ける基礎力をつけておけば十分合格できます。本当に分からない問題と出会ったときの最後の切り札として活用してくださいね!

まとめ

当記事を最後までお読みいただき、ありがとうございます。

今回は、中小企業診断士・一次試験の「選択肢」に着目し、過去に正解が選ばれやすい選択肢の傾向や同じ選択肢に連続で正解が置かれる可能性について調べてみました。

マークシート形式の問題では、ある程度「運」が関わってくることは否めません。

しかし、受験者側からすれば、どんな問題でも約25%くらいで正解できることになります。

得点率60%の絶対評価で合否が左右する中小企業診断士の一次試験では、運を味方につければ合格率も大きく変わってくるでしょう。

もちろんしっかりと学習を行い、実力だけで60%以上を目指してください。

とはいえ本番で表れる「無理ゲーな問題」への対策として、この記事の内容を活用していただければ幸いです!

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