【独学・一発合格】中小企業診断士「財務・会計」の勉強法と合格ポイント|最も難しい科目を得意に!

中小企業診断士・一次試験の「財務・会計」は、一次試験7科目の中でも計算問題も多く苦手としている受験生が多い科目です。

財務・会計では、企業に財務諸表を読み取ることができるだけでなく、財務諸表からわかる経営課題を把握することや、投資の有効性などを分析できることが求められます。

問題の難易度が高いだけでなく、限られた時間内で正確に計算を行うなど、苦手な方が多いことも納得できる内容となっています。

この記事では、令和5年度の一次試験で独学・一発合格できた私が、財務・会計の概要や難しさをお話しした上で、合格のポイントと具体的な勉強方法を紹介します。

確かに財務・会計は、その難易度の高さゆえに合格率も低く、独学でも合格が難しいことは間違いありません。

しかし、正しいプロセスで計画的・効率的に学習を進めれば、独学・一発合格も十分に可能です。

実際に受験して感じた私の経験をもとにお話ししますので、是非学習を進める際の参考にしてくださいね。

この記事でわかること
  • 財務・会計の概要(出題範囲・難易度・合格率・二次試験との関連性など)
  • 財務・会計が最難関科目である、難しさの理由
  • 実際に財務・会計を勉強・受験して感じたこと
  • 独学・一発合格のためのポイント
  • 私が実践した具体的な勉強方法
目次

財務・会計の概要

まず初めに、財務・会計とはどのような科目なのかを知っておきましょう。

科目設置の目的

中小企業診断士の申し込み案内に提示されている、財務・会計の科目設置の目的は以下の通りです。

(科目設置の目的)
財務・会計に関する知識は企業経営の基本であり、また企業の現状把握や問題点の抽出において、財務諸表等による経営分析は重要な手法となる。また、今後、中小企業が資本市場から資金を調達したり、成長戦略の一環として他社の買収等を行うケースが増大することが考えられることから、割引キャッシュフローの手法を活用した投資評価や、企業価値の算定等に関する知識を身につける必要もある。このため、企業の財務・会計について、以下の内容を中心に知識を判定する。

r06_1ji_annai.pdf (j-smeca.jp) 令和6年度中小企業診断士 第1次試験案内・申込書より引用

財務・会計の設置目的については、経営コンサルタントとして活動する上で必要な、お金に関する知識とそれに基づく助言が行えるようになることであると言えるでしょう。

具体的には、企業経営の基本であるお金回りの知識を身に付け、財務諸表等から企業の現状把握や問題点の抽出が行えることや、投資評価や企業価値の算出を通じた企業の投資・買収へのアドバイスなどです。

どのような事業を行う企業でも、財務・会計に関する知識は切っても切り離せない重要な要素です。

中小企業診断士として、企業のお金回りに関するあらゆる助言が行えるよう、その基礎となる知識を身に付けることが求められます。

特に近年では、中小企業のM&Aが行われる機会も増えており、合併・買収に関連する企業価値の算出の出題も増えてくることが考えられます。

出題範囲

財務・会計に出題範囲は以下の通りです。

財務・会計の出題範囲
  • 簿記の基礎
  • 企業会計の基礎
  • 税務会計の基礎
  • 原価計算
  • 経営分析
  • 利益と資金の管理
  • 資金調達と配当政策
  • 実物投資
  • 証券投資
  • 企業価値
  • デリバティブとリスク管理
  • その他財務・会計に関する事項

まず「①簿記の基礎」から「⑤経営分析」までは、企業の財務諸表を読み取ることができ、そのうえで経営課題を分析できることが求められます。

簿記で学習する貸借対照表や損益計算書を読めるだけでなく、そのうえで数値を用いた経営分析を行います。

次に「⑦利益と資金の管理」や「⑧資金調達と配当政策」では、企業の資金調達についての内容であり、キャッシュフロー計算書を用いた資金繰りの状況や借り入れの方法などが該当します。

また「⑧実物投資」や「⑨証券投資」では、企業が検討している投資が本当に利益に繋がるのか、「DCF」や「NPV」と呼ばれる計算を用いて投資の有益性を判断します。

最後に「⑩企業価値」では、配当割引モデル・株価収益率などを用いて企業の価値を算出し、合併・買収などを行うべきかを判断します。

このように、企業のお金回りに関することすべてが出題範囲と言えるでしょう。

企業が経営を続けていくために必要な財務・会計に関する知識を身に付け、経営状態をより良い状態へと導くための助言ができる能力が求められます。

試験時間や配点

財務・会計の試験時間は60分、配点は100点/700点です。

日程科目配点試験時間
1日目経済学・経済政策100点60分
財務・会計100点60分
企業経営理論100点90分
運営管理(オペレーション・マネジメント)100点90分
2日目経営法務100点60分
経営情報システム100点60分
中小企業経営・政策100点90分
r06_1ji_annai.pdf (j-smeca.jp) 令和6年度中小企業診断士 第1次試験案内・申込書

企業経営理論では、配点が4点の問題が計25問出題されます。

1問あたりの配点がかなり高いため、計算問題のケアレスミスなどは絶対に避けたいですね。

逆に、取るべき問題をしっかりと得点したり、分からない問題も最後まで粘って正解できたときの恩恵が大きいとの言えます。

極力最後まで捨て問を作らず、1問1問をしっかり得点していく必要があります。

合格率の推移

財務会計の、過去18年間の合格率平均は14.3%です。

中小企業診断士資格取得を目指す方に中小企業診断士試験のご案内です (j-smeca.jp)を元に作成

財務・会計の過去10年間の平均合格率は、一次試験7科目の中で最も低い最難関科目となっています。

年度によって合格率のブレは大きいですが、やはり苦手としている受験生が多いようです。

7科目の中でも、多めに時間を割いてしっかりと準備をする必要がありそうです。

目安となる勉強時間

大手予備校や受験者の意見では、約180時間の勉強が必要と言われています。

しかし、もともと簿記の資格を持っている方や、経理の仕事をしているなどのアドバンテージがある方もいるでしょう。

また、勉強の質や得意・不得意によっても同じ勉強時間でも成果は変わってきます。

あくまで必要となる勉強時間は目安とし、過去問で安定した得点が取れるようになるまでしっかりと学習を進めておきましょう。

二次試験との関連性

財務・会計の二次試験との関連度:★★★

財務・会計は、二次試験の「事例Ⅳ」と直結するため、二次試験との関連性が高い科目となっています。

二次試験の中でも、「事例Ⅳ」だけは計算問題が中心となる異質な科目です。

財務・会計で学習する経営分析やDCF法の計算式などを直接生かすことになるため、財務・会計を得意になっておくと二次試験の学習をスムーズに進めることができるでしょう。

財務・会計の難しさ

財務・会計は、一次試験7科目の中でも最難関に位置する科目です。

ここでは、財務・会計の合格率を下げている難しさの理由を考察していきます。

覚えるべき知識の量が多い

上述した通り、財務・会計の出題範囲は、企業のお金回りに関するあらゆる知識です。

そのため、インプットしなければない知識量が非常に多いことが特徴です。

例えば、簿記の学習をしたことが無い方は、貸借対照表の勘定科目の暗記や仕訳など、基礎から学習を進めなければなりません。

また、経営分析や投資意思決定、企業価値の算出では、それぞれ指標と計算式を暗記する必要があります。

このように、覚えなければならない知識量が膨大で、インプットだけでもかなりの時間が必要になる点が財務・会計が難しい理由の1つと言えるでしょう。

計算問題が難しい

財務・会計は覚えるべき知識量が多いだけでなく、出題される問題が普通に難しいです。

特に、企業価値の算出やDCF法、配当の算出などは問題の難易度が非常に高いためしっかりと対策する必要があります。

具体例として、過去問を見てみましょう。

令和4年度 財務・会計 第14問

B社は以下のような条件で、取引先に貸し付けを行った。割引率を4%としたとき、貸付日における現在価値として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。


① 貸付日は2020年7月1日、貸付期間は5年であり、満期日の2025年6月30日に元本200万円が返済されることになっている。
② 2021~2025年の毎年6月30日に、利息として元本の5%である10万円が支払われる。
③ 期間5年のときの複利現価係数と年金現価係数は以下のとおりである。

〔解答群〕
ア 200.1万円
イ 201.3万円
ウ 207.7万円
エ 208.9万円

この問題は、時間的価値を算出する問題で、財務・会計や事例Ⅳでも頻出論点の1つとなっています。

この問題を見ると分かるように、年金原価計数や複利原価計数を用いて現在価値を算出する計算方法を知っていることはもちろんのこと、貸付期間や金額など問題によって異なる変数を使って計算しなければなりません。

さらに、試験本番の緊張感の中で、限られた時間を使って正しく計算しなければいけないと考えると一筋縄ではいかないでしょう。

このように、本番で正確に計算ができるように演習を繰り返しておかなければ解けない難題が多い点も、財務・会計の合格率が低い理由の1つと言えるでしょう。

会計・帳簿のルールに関する難題が増えている

財務・会計では、会社法などの法律からも正誤を問う問題が出題されます。

最近は、このような会計・帳簿に関する細かい論点を問う問題が多くなっています。

こちらも例題を見てみましょう。

令和4年度 財務・会計 第5問

会社法における計算書類の作成、開示に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 計算書類とは、貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書および株主資本等変動計算書のことである。


イ 子会社を有するすべての株式会社は、連結計算書類を作成しなければならない。


ウ すべての株式会社は、各事業年度に係る計算書類を作成しなければならない。


エ すべての株式会社は、定時株主総会の終結後遅滞なく、貸借対照表と損益計算書を公告しなければならない。

この問題にもあるように、会社法などの法律では、会社の形態や規模によってそれぞれ財務諸表等の作成・開示を義務付けています。

法律によるルールなので、知っていれば解ける問題なのですが、法律の条文すべてを暗記しようとすれば他の科目に時間を割くことができなくなってしまいます。

細かい会計・帳簿のルールを問う問題は、完璧にしようとすれば時間がかかる点で対策が難しいため、財務・会計で安定した点数が取りにくい理由となっています。

企業経営理論の難しさ
  • 財務会計の基礎から覚えるべき内容が多い
  • 計算問題の出題が多く、かつ難易度も高い
  • 会計・帳簿のルールに関する細かい論点が問われる

実際に試験を受けた感想

ここでは、私が実際に財務・会計を勉強して試験を受けて感じたことをお話しします。

7科目の中でトップクラスに難しい

合格率の通り、財務・会計は7科目の中でトップクラスに難しい試験でした。

テキストだけでもかなりの量の内容を覚えなければなりませんし、覚えた知識を使って計算問題を解けるように訓練する必要があります。

そう考えると、一気に集中して仕上げてしまうことが難しく、時間を取って繰り返し演習を行わなければなりません。

純粋な内容の量や難易度に加え、計算問題を対策するためにある程度の時間が必要になる点も、学習を進めていく上での難しさとなっていたと感じています。

毎日1問でも計算問題に触れておくべき

財務・会計の対策として、毎日1問でもいいので計算問題に触れておくことをオススメします。

財務会計に限らず計算問題は、繰り返し演習を行うことで定着していくものです。

ある程度、財務に関する知識や計算式の暗記が終わったら、過去問や問題集を中心に毎日1問の計算問題を解くことを習慣にすると、本番で焦らず正確に計算式を扱えるようになるはずです。

問われる論点は過去問が中心

財務・会計は、確かに覚える量も多いのですが、問われる論点は毎年変わっていないと感じています。

例えば知識面では、財務諸表の作成義務がある会社の種類や、勘定科目の取り扱いなどが頻繁に出題されています。

また計算問題では、経営分析で用いる自己資本利率やROE、年金原価計数を用いた現在価値の算出などが頻出です。

もちろん過去問に無い問題も登場しますが、年に3問程度と数は少ないです。

そのため、テキストに掲載のある内容な過去問での出題を中心に対策を進めることで、取るべき問題を取って60点越えを目指す戦略が最も有効なのではないかと考えています。

財務・会計の合格のポイント

上述した財務・会計の難しさを踏まえて、合格を勝ち取るためのポイントを解説します。

頻出の論点は絶対に得点する

財務・会計に限らず、一次試験は60点を取れば合格できます。

そのため、難しい問題に時間を割かず、取るべき問題を確実に取れるように準備することが大切です。

前提として、中小企業診断士の一次試験には、「落としてはいけない問題」と「みんな正解できない問題」が出題されます。

具体例として、中小企業診断士試験の予備校・参考書出版の最大手であるTACの過去問題集で公開されている「TACデータリサーチによる正答率」を見てみましょう。

 A
(正答率80%以上)
 B
(60%以上80%未満)
 C
(40%以上60%未満)
 D
(20%以上40%未満)
 E
(正答率20%以下)
1(4%)9(36%)12(48%)2(8%)0(0%)
令和4年度 財務・会計の正答率の分布

この分類では、「A」や「B」が落ちしてはいけない問題、「C」が差が付く問題、「D」や「E」がみんな正解できない問題と言えます。

この時、「A」と「B」を確実に得点し、「C」を半分でも得点できれば64%の得点率となります。

特に財務・会計では、「C」の差が付くが半数ほど出題されています。

まずは「A」と「B」を確実に正解できる基礎力を身に付け、過去問演習や計算問題の対策を通じて「C」の正答率を上げていく戦略を採りましょう。

「D」や「E」の問題は理解に時間がかかりますし、今後出題されるかもわからないため、無駄に時間をかけすぎずに捨ててしまう勇気も大切です。

計算問題は毎日の演習で慣れていく

感想の部分でもお話ししましたが、計算問題への対策には毎日の演習で定着を図る戦略がオススメです。

財務・会計では、それぞれの内容でかなりの量の計算式を暗記することになります。

そして、その計算式を用いて問題ごとに変化する数字に対応しなければなりません。

この時、一気にすべての計算式を覚えようとすると、次の科目の学習が終わったときには計算式すら忘れてしまって覚え直しという事態になってしまいます。

もちろん、他も科目の暗記事項を継続して学習することも大事なのですが、財務・会計は難易度も高く二次試験との関連性も高いため、多くの時間を割く価値のある科目と言えます。

私は、毎日勉強の終わりに1問だけ計算問題を解き続けて寝るようにしていました。

本業や他の科目の学習で限られた時間の中だとは思いますが、本番で焦らず冷静に解けるように備えることができるため是非実践してみてください。

初学者は簿記の取得を目指す

財務・会計の対策として、簿記の取得が勧められることも多いです。

そして、私も財務・会計の対策として簿記を取得することには賛成です。

実際、財務・会計では簿記2級レベルの問題が出題されると言われています。

特に、貸借対照表や損益計算書などの知識はそのまま使うことができるため、基礎固めの手段として簿記を取得することはメリットが大きいでしょう。

私も、中小企業診断士の勉強を始める前から簿記2級は取得していましたが、財務諸表の基礎や問題を解いたことがあるという経験があるだけでスムーズに学習を進めることができました。

とはいえ簿記2級だって簡単に取れる資格ではありません。

限られた時間の中であることを加味すると、初学者の方や基礎をしっかり固めておきたい方が取り組むべき手法かもしれません。基礎固めとしてなら、簿記3級だけでも十分価値はあるでしょう。

企業経営理論の合格のポイント
  • 基礎を身に付け、頻出の論点は確実に正解する
  • 計算問題の対策として、毎日演習を行うことで定着を図る
  • 初学者は簿記の取得を目指すことでスムーズに学習が進めることができる

実際に実践した勉強法

ここまで、財務・会計の試験概要や難しさについてお話ししてきました。

最後に、実際に私が実践していた学習方法を紹介します。

STEP
テキストで知識をインプット

まずは、テキストを使って知識・計算式を暗記します。

計算問題が多いとはいえ、基礎となる知識や計算式が頭に入っていることは絶対に必要ですので、インプットにはかなりの時間を割いて丁寧に行うべきでしょう。

私は、TACから出版されている「スピードテキスト」を使用していました。

出版社独自の過去問分析に基づく、覚えるべき知識・計算式がはっきりしている点や、最新の過去問で登場した新しい論点についても掲載があるため信頼できる一冊でした。オススメです!

また、時間の有効活用のために暗記アプリである「フラッシュカード」を使っていました。

好きな形式・内容で暗記カードを作成できるアプリになっており、通勤や寝る前などのちょっとしたスキマ時間に暗記を進めることができるため、忙しい方にオススメのアプリとなっています。

暗記カード FlashCard - 単語帳を自分で作る&共有
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開発元:Toshiki Motomura
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以上が、私が実践していた勉強方法です。

大まかな流れとしては、①テキストでインプット→②すぐに問題集でアウトプット→③過去問演習 です。

これに加えて、他も科目の学習を進める中でも1日1問の計算演習を行っていました。

やはりテキストに載っている内容は、各出版社が過去問を徹底的に分析した上で厳選された内容が掲載されているものです。

他も参考書や余計な知識に紛らわされることなく、1冊の参考書を完璧にすることを意識しましょう。

まとめ

当記事を最後までお読みいただき、ありがとうございます。

今回が、中小企業診断士・一次試験を一発で独学合格するために、最難関科目である「財務・会計」について、科目の概要から難しさの理由、合格のポイントと具体的な勉強方法を解説しました。

合格率からもわかる通り、財務・会計は一次試験7科目の中で最も難しい試験と言えます。

しかし、二次試験の事例Ⅳに直結することもあり、重要度の高い科目でもあります。

記事内でもお話しした通り、膨大な出題範囲の中でもテキストの掲載内容や過去問を中心に、繰り返し演習を重ねることが重要な科目です。

皆様が学習を進める中で少しでも参考になれば幸いでございます。

他にも中小企業診断士に関することを記事で発信していますので、勉強の合間に是非とも呼んでみてくださいね!

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